俺から逃げられると思うなよ
教室に着く。

窓際の席、ということもあって、ぽかぽかの陽射しが当たって眠くなる。

眠いなぁ、なんて思っていると。



「茜」



名前を呼ばれて飛び起きる。

不意に呼ばれたから、びっくりしたよ。



「神崎くん、どうした?」

「授業始まるよ」



そっか。

もう、そんな時間か。


私は、古典の教科書を取り出して授業の準備をする。



「茜……。次の授業、数学だよ」



呆れた表情で私を見る神崎くん。


でもね。

その表情には騙されないよ!

転校3日目に、散々騙されたのを覚えているからね!


私は、神崎くんの言葉を無視していると。

神崎くんが、隣でため息をついた。
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