俺から逃げられると思うなよ
「授業、始めるぞー!」



先生が入ってくる。


そうそう。

古典の先生……。

……じゃない!?



「穂村! またお前! 数学の教科書を出せ!」

「え! すみませんっ」

「数学嫌いをアピールするな!」



先生に叱られる私。

クラスに笑いが巻き起こる。

涼なんて、『お前、バカ!』と大声で笑っているし。

やめてよ、恥ずかしいんだから。


隣の神崎くんを見れば、



「……バカなの?」



なんて、肩を震わせて笑っているし。



「茜」



笑いを堪えきれてない神崎くんは、私の名前を呼ぶ。



「なに?」



不機嫌な私に神崎くんは。



「俺をなんだと思っているの」



とか、言いつつ、私をバカにしたように笑ってますけど?

その言葉、私が言いたいよ。
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