俺から逃げられると思うなよ
「バカなの?」

「バカじゃなー―、」

「穂村、うるさいぞ!」



再び教壇から、大きな声が飛んでくる。

クラスメイトには変な目で見られるし。

隣の彼は、机に突っ伏して肩を震わせているし。


転校早々、なんなの。

全部、この隣の奴のせいだ。

絡まれているところを助けてやったと思ったら。


逆にいじわるされて。

なんなんだ。

私もいじわるしちゃいますよ?



「先生っ! 隣の席の男の子が、寝ています!」



先生に訴えかける。



「俺の授業で寝るなよ!」



私の声に反応した先生が大きな声を出す。



「神崎! 起きろ!」



そうだ、起きるんだ!

起きるんだ、神崎!


ん?

……神崎?


どこかで聞いたことある名前だ。
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