俺から逃げられると思うなよ
学校を出る。

私の手は、自然と千秋くんの手と繋がれていた。



「千秋くんっ。大丈夫なの?」

「なにがー?」



私の言葉に振り返る千秋くん。

なにが、って。



「2人をおいてきて……」

「だいじょうぶー」



ほ、本当かな。

あとで怒られたりしないかな。

……だけど、怒る要素はどこにもないか。



「それよりっ! 早くお弁当箱探しに行こっ!」



私たちはなぜか手を繋いだまま、ショッピングモールへ向かう。

何度か、手を離そうとしたけど千秋くんが許してくれなかった。


諦めた私は、引っ張られるままにショッピングモールへ行く。



ショッピングモールには人であふれかえっていた。

友達同士とかカップルで来ている人が多いなぁ。



「茜ちゃんっ」



千秋くんに呼ばれてはっとする。



「あ、なに?」

「お弁当箱って、どこに売ってるの!?」



スーパー?

本屋さん?

ゲームセンター?


なんて、聞いてくるけど。

やっぱり、バカだ。



「雑貨屋さんとかに売っていると思う」

「じゃあ、行こーっ!」



千秋くんは、ちょっとバカだけど、ショッピングモールには詳しいらしい。

どこに、どのお店があるとか分かるみたい。

すごいなぁ。
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