俺から逃げられると思うなよ
「このお弁当箱はーっ?」



すでに3件目の雑貨屋さんを見ている。



「かわいいけど……。涼にはかわいすぎると思う」

「えーっ」



千秋くんが見せてきたのは、ライオンのかわいいイラストが描かれたお弁当箱。

確かに、涼っぽいけど。

イラストがかわいすぎて、涼に怒られそうな気がする。



「シンプルなお弁当箱でいいんじゃないの?」



私が手に取ったのは、無地で高校生男子がよく使っているようなお弁当箱。

デザイン性より、機能性重視。



「地味」



却下されました。


この会話を何度か続けた結果。

5件目の雑貨屋さんで、無事お弁当箱を購入することが出来た。

デザイン性も機能性も優れたお弁当箱。

4人とも同じデザインで、色違い。

レディースサイズとメンズサイズがあったので、4人でおそろいが出来た。


紙袋に入っているお弁当箱たちは、千秋くんが持ってくれている。

もう片方の手は、しっかり私と繋がれていて。


そろそろ離してくれてもいいんじゃないかなー。

私が、そう言いかけたとき。
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