俺から逃げられると思うなよ
「……されたんだ」

「いやいやいやっ」

「したよねっ?」



なんかもう、わけが分からなくなってくる。


さっきから黙っている涼……。

黙ってないで助けてよ。



「俺、外で晩飯食ってくるわ」



涼が立ち上がる。


えっ。



「涼? 今日の晩ご飯はオムライスだよ?」

「えっ! オムライス!」



私の言葉に反応したのは千秋くんで。



「……また千秋かよ」



そう、言葉を残して涼は玄関から出て行ってしまった。


何が起こったのか分からない私だけど、この状況はまずい気がする。



「涼って、ちゃんと家に帰ってくるよね?」



私が2人に問うと、



「夜遊びして帰ってこなかったときもあった」

「次の日、学校に連絡あったって話も、僕のクラスまで届いてたー」



なんて、のんきな返事。


探さなきゃ。

そう思って私は立ち上がる。
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