俺から逃げられると思うなよ
「茜?」

「涼を探してくる! 2人はご飯食べていて!」



2人の返事も聞かず、私は家を飛び出した。



飛び出したのはいいものの、涼がどこへ行ったのかも分からない。

携帯は持っているけど、涼の電話番号とか登録してなかったのを思い出す。


どうしよう……。

涼、夜遊びするのかな。

夜遊びっていったら、繁華街?


勝手なイメージだし、涼が夜遊びしているかは分からないけど、行くだけ行ってみよう。


風が少し冷たい。

歩いていると、冷たい風が体に当たる。

上着くらい着て来ればよかった。


涼は、今頃なにしているかな。

寒さで震えていないかな。


だんだん不安になってくる。


繁華街に近づくにつれ、明かりもなくなっていく。

怖い雰囲気だ。

こんなところに涼はいるのかな。



「涼……」



小さく名前を呟く。

ここで返事してくれたらいいのになぁ。

って、簡単に見つからないよね。



繁華街を歩く。

ガラの悪そうなお兄さんたちがいっぱいいる。

他にもきらきらすぎる女の子が歩いていたり。


ひとりで歩いている、平凡すぎる女の子って私だけじゃない?


涼は本当にどこへ行っちゃったんだろう。
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