ヤンデレ歌い手たちにストーカーされていた件について

「ライブ、本当によかったよね！新曲も最高だったし！ソロの曲もよかったなぁ」

女の子と話していると、スタッフが「楽屋招待の方は来てください」と緊張したように言う。その言葉で音羽は楽屋招待のことを思い出し、体がまた震え始めた。

「ほら、行って来い！」

女の子に背中を押され、「う、うん……」と音羽は頷く。さっきまで何万人もの前で歌っていた人たちと会うのだ。

「楽屋でメンバーの方とお会いしたということはSNSなどには載せず、自分の中で思い出として取っておいてくださいね。あと、写真を撮ったりもしないでください」

「わ、わかりました」

スタッフに注意事項を聞きながら、音羽は関係者以外が立ち入れない廊下を歩いていく。そして、楽屋にとうとう着いてしまった。音羽の胸は自分でもわかるほど鼓動が早まっている。

「失礼します。楽屋招待の方をお連れしました」

スタッフがドアをノックすると、「は〜い！」というメンバーの声が聞こえてくる。その刹那、ガチャリとドアが開いた。