ヤンデレ歌い手たちにストーカーされていた件について
「あっ……れださん……」

男性にしては少し低めの身長の栗色の髪をした男性がニコニコ笑っていた。いきなりの登場に音羽は緊張して声が裏返ってしまう。

「音羽ちゃん、今日もライブ来てくれてありがとう!!さあ、入って〜!!」

れだに手を引かれ、音羽はグイッと楽屋の中へ連れ込まれる。その時になぜ自分の名前を知っているのだろうと不思議に思った。しかし、それを聞く暇などなかった。なぜならーーー。

「わあ!本物の音羽ちゃん!!」

「画面越しでも遠くからでもない〜!!」

「ヤッベ、尊い……」

南斗、リギル、羽白に囲まれた音羽は三人に手を握られたり頭を撫でられたりする。他のリスナーに申し訳ないと思いながら、音羽は「あれ?」と思うことを口にした。

「あの……どうして私の名前を知っているんですか?あと、画面越しとは一体……」

すると、四人の顔つきが一瞬にして変わる。無邪気な子どものような顔ではなく、悪いことを企むような表情だった。音羽は危険を感じるも、ドアの前に羽白が立っているため逃げられない。スッと南斗が音羽の頬を撫で、口を開いた。
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