凌玖先輩から逃れられない
もちろん地味な顔なのは自覚してるけど、
会長に似合う容姿ではないことを改めて突きつけられた気がして、ショックだった。
そうだよね、あの会長と一緒にいるのがわたしなんかじゃ納得いかないよね……。
これ以上一緒にいると、会長の株が下がってしまうのも時間の問題。
やっぱり丁重にお断りした方が……そう思った瞬間。
「先ほどから騒がしいな。言っておくが、お前達の言葉は全て聞こえている」
凛とした声で制したのは会長だった。
「沙耶のことを何も知らないお前達が、そんな戯言を言う資格などない」
「……っ」
不謹慎だけど、さりげなく名前を呼んでくれたことにも胸が熱くなった。
「みっともないしとても不愉快だ。これ以上沙耶を傷つけるな……行くぞ」
そうして女子達の喧騒が収まった後。
会長が優しく手を引いてくれて、わたしは大人しくついていった。