凌玖先輩から逃れられない

というわけで朝はひとりで登校している。

教室に入ると、真綾ちゃんが今にも泣きそうな顔でわたしに飛びついてきた。


「沙耶ちーん!助けてー!」

「真綾ちゃん、どうしたの……?」



真綾ちゃんを受け止めて腕を背中に回すと、ひょいっと急に離れていく真綾ちゃん。


一体、何が……?



「テストだよ!」


「……ああ、テストね」

「反応薄くない!?あたし、今回全然わかんなくて絶望してるんだけど……!」


知ってるよ。


真綾ちゃんは毎回そう言ってトップ5に入るんだから。

それで真綾ちゃんに散々お世話になるのも予想できますよ。


わたしはもう騙されないよ。


真綾ちゃん、それを世間では裏切りっていうんだからね。

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