凌玖先輩から逃れられない

そう。メイクしてみたんだ。

とはいえ軽くなんだけど、先輩に似合うような女性になりたくて不器用ながらに頑張ったんだ。


いつもより可愛くなってるだろうわたしを見て真綾ちゃんは嬉しそうに微笑む。



「これでも十分可愛いけど、ワンポイントでこれも使ってみなよ!」

「ありがとう……!」


真綾ちゃんのメイクポーチからグロスを取り出して、わたしに渡す。


「嬉しいな〜。沙耶ちんがメイクしてくれて。
沙耶ちんを恋する乙女に変えてくれた会長様に感謝しないとね!」



真綾ちゃんは「頑張る乙女は世界で一番なんだから!」とイキイキしていたけど、さっきの言葉で頭がいっぱいだった。


恋する乙女……。

真綾ちゃんからそう見えるんだ。


真綾ちゃんはわたしよりもずっと恋愛経験が豊富だから、間違いない。



わたし、先輩のことが……


好き、なんだ。

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