凌玖先輩から逃れられない
いざ自覚すると……すごく恥ずかしい。
わたし、先輩のことが好きなんだな……。
これが、恋なのだと。
先輩が近くにいないのに、先輩のこと考えるだけで……苦しくなる。
「沙耶ちーん?」
「……」
わたしは思わず俯いて、真っ赤な顔を両手で隠した。
「あ!しげるん〜!」
「おい、しげるんやめろ」
背後から聞こえたのは、同じクラスの茂田くん。
真綾ちゃんはわたしを沙耶ちんと呼ぶみたいに、茂田くんのことをしげるんと呼ぶ。
きっと彼女の趣味なんだろう。
「おはよう!茂田くん!」
わたしも慌てて顔を上げると、茂田くんはわたしを見つめたまま固まってしまった。
なんでだろう……あ、そっか。メイクしたからか。