凌玖先輩から逃れられない

とはいえ、おかげさまでちょっとだけ自信がついた。

先輩に似合う女性に近づいていればいいんだけど……とまだまだ不安な気持ちもあるけど。


放課後のお手洗いの鏡で最終チェックして、よしっと気合を入れた。



「お待たせしました!」

「ああ。そんなに待ってな……」



そしてそのまま先輩のところへ向かうと、顔を見るなり目が点になって硬直しているではないか。


何も反応してくれない先輩にどんどん不安が募る。


茂田くんの時は可愛いって言ってくれたけど、価値観は人それぞれなわけで。


可愛くないとかブサイクとか思われたらどうしよう……と被害妄想に浸っていると、



「……っ、ちょっと来い」

「へ?わっ!」



手を取られ、先輩と共になぜか校舎に戻っていく。

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