凌玖先輩から逃れられない
ふたりきりになれたと甘い音を立てたのも束の間だった。
あまりにも似合わなさすぎて、嫌いになっちゃった……?
こういう時、変にマイナス思考になってしまうから嫌だ。
だけど、わたしの考えが本当だという可能性もあるのだ。
先輩の他愛もない仕草に一喜一憂してしまう。
それに気づいて、やっぱり好きなのだと自覚する。
「えっと、それは……」
「ただでさえお前は可愛いんだ。さらに綺麗になってどうする」
「か、可愛……っ」
予想外の褒め言葉に思わず狼狽えてしまう。
好きな人に可愛いと言われてしまったら、嬉しくて今すぐ飛び跳ねたいものなのだ。