凌玖先輩から逃れられない
悲観に満ちた顔から一転、思わずニヤけると先輩は抱擁を解いてわたしの顔をじっと見る。
「お前の笑顔を見ただけで、誰もいないところに閉じ込めたくなる。キスもしたくなるな」
「え……っ」
「好きな相手とキスしたいと思うのは当たり前だろう」
わたしの肩に先輩の頭が乗っかる。
その体温にドキマギする。
「お前の前だから完璧な自分でいたいが、どうも上手くいかないな」
「どうしたものか」と呆れながら笑う声音に、キュンと胸が熱くなる。
すごいさっきから甘い言葉オンパレードなんだけど、わたし大丈夫か……?
キュン死だけはしないでくれ、頼む。
言われ慣れてないのもあって、今の先輩の破壊力はただものじゃない。