凌玖先輩から逃れられない
先輩の手が腰に回され、また密着する。
「……ふっ、少しでも俺と同じ気持ちなんだな。それだけで安心した」
わたしの尋常なく早い鼓動が聞こえたのだろう。
先輩は心の底から嬉しそうに言うものだから、またキューッと締めつけられた。
わたしも先輩の音が聞こえてくる。
その速度がわたしと一緒で、それが落ち着かせてくれる。
「あの、凌玖先輩」
「ん?」
「……いえ、なんでもないです」
その鼓動が恋なのだと教えてくれる。
テストが終わったらちゃんと伝えよう。
先輩のことが誰よりも好きだって。
♡