凌玖先輩から逃れられない
本の整理をして……よし!
「終わったー!」
「まだ閉館作業ある」
「そうだった……!」
同じ図書委員の茂田くんに「どんだけ楽しみなんだよ」と指摘され、思わず赤らめる。
放課後の図書館はとても静かな空間だ。
利用者数が多いのは、テスト前の時だけ。
それ以外の時間は本が好きな人しか図書館に入らないんだ。
今は閉館間際というのもあり、ここにいるのはわたしと茂田くんだけだ。
「あのさ、あんな完璧な彼氏で不安じゃねーの?」
「ちょっと茂田くん先輩はまだ彼氏じゃない!」
「必死だな……でも、お前は好きなんだろ?」
句読点つけずに先走ったわたしに茂田くんが笑った。わたしはこくんと頷く。
そんなわたしを見て茂田くんは「あのさ……」と重たい雰囲気を声に乗せた。
「お前はすげーいい奴だよ。真面目で優しくて……だけど、正直に言うと平凡だ」
何故、今そんなことを言われないといけないんだろう。