凌玖先輩から逃れられない
それに比べてわたし、倉橋 沙耶ときたらごく普通の高校1年生。
特別秀でた才能なんかなく、悲しくなるほどに華やかさのカケラもない。
そりゃあね、こんなわたしでも恋したいとか彼氏ほしいとか思ったりしてるよ?
だけどこの平凡さだからさ、どこかの少女マンガみたいに学園の王子様と付き合えることは諦めてるの。
せめて優しい人に恋して、ちゃんと自分を好きになった人と付き合って、穏やかで幸せな毎日を送りたい。
自分で言うのも虚しいが、事実だからもう1度言わせてもらう。
わたしはどこにでもいるような女子高校生だ。
とてもじゃないが、こんな素晴らしい方から告白されるって信じられない。
え、嘘じゃありませんよね?
「あの、告白する相手間違えてたりしませんか?」
「俺が好きなのは倉橋 沙耶だ。お前で間違いないだろ」
「あの、わたしの他に同姓同名とかは……」
「全校生徒の名前と顔はしっかり覚えているが、お前と同姓同名はいない」
ビシッと返されたら反論の余地もない。