凌玖先輩から逃れられない
とても冗談を言っているようではなさそう。
青がかった黒い瞳はとても真剣だ。
だけど、あまりにも信じられない。
だって一度も会話をしたことないんだよ?
わたしが忘れただけで、会長が覚えてたりしてるのかな……?
いや、でもこんなカッコいい人の顔を忘れるなんてこと絶対ないと思うけどな。
「……」
わたしは当たり前だけど人生で一度も告白を受けられたことがない。
ど、どうしたらいいんだろう……。
気持ちは嬉しいけど、相手が相手で困惑の方が強かった。
「戸惑う気持ちも分かる。なんせ、初めましても同然だからな」
「どうしてわたしを好きになったんですか……?」
そ、それぐらいは聞いてもいいよね?
「それは……そうだな。お前に話すとなると少し恥ずかしいな」
恥じらいを見せた会長はふいっと視線をそらす。