凌玖先輩から逃れられない
……か、カッコいい。
いや、そうじゃなくて会長に気を遣わせてしまった……!
「む、無理にとは言いません!なんなら言わなくても大丈夫です……!」
「気を遣わせてしまい、すまない。だけどきっかけを物語るとなると、かっこ悪い俺のことまで話さないといけないからな」
会長にかっこ悪い姿なんてあるの……?
疑問に思うわたしをよそに会長は続ける。
「好きな人にはかっこ悪い姿を晒したくない」
なんて、苦笑を含ませて様になる笑みを浮かべる会長にドキドキしてしまう。
会長は口説き方まで完璧なの?
下手したらコロリと好きになりそう。
「とりあえずこれを機に俺のことを意識してほしい」
「……はい」
もうとっくのとうに意識してます、なんて色々キャパオーバーで言えるはずもなく。
「今は返事はいらない。だが、これからは積極的にいくから覚悟しといてくれ」
会長はわたしの頭にぽんと手を置いて、さりげなく耳元で宣戦布告した。
その仕草はどこまでも優雅でスマートで、わたしを心を狂わせる。