凌玖先輩から逃れられない
先輩、嬉しいです
どうしよう……。
あれから寝る間も惜しんで必死に思い出そうと頑張った。
しかしいくら頭を使っても、入学式の時の在校生代表のスピーチと昨日のことしか覚えていないのだ。
気分が乗らないまま、朝の昇降口で上履きに履き替えると後ろから誰かが肩を叩いた。
「沙耶ちん!ちょっとちょっと!」
「真綾ちゃん……!?」
中学からの仲良しである高橋 真綾ちゃん。
真綾ちゃんはイケメンに目がないミーハーな子だけど、お姉ちゃん気質でしっかり者。
真綾ちゃんはすごく頭もいいから、テスト前なんかは特に助かっているのだ。
そんな真綾ちゃんが感情を高まった状態になるといったら……イケメンに関わることしかない。
「あの篠崎会長から告白されたって本当!?」
もう噂になってるの……?
昨日のことだよね……?
会長効果恐るべし。