凌玖先輩から逃れられない
昨日のことを思い出すと、思わず顔が赤くなってしまう。
その反応を見て肯定と捉えた真綾ちゃんは「きゃー!」と黄色い悲鳴をあげる。
「ちょ……!人前だから声小さめにして!」
「それでそれで!?もちろんOKしたよね!?」
「それが……」
聞く耳持たない真綾ちゃんに諦めて、わたしは昨日のことを正直に話した。
「放課後、図書委員の仕事を終わらせて帰ろうとしたら下駄箱に手紙が入ってて、指定場所に行ったら告白された、と……」
ご丁寧に復唱ありがとうございます。
「それで戸惑った沙耶ちんの気持ちを汲み取った会長は返事はまだしなくていいと言って去っていったと……まじで?」
そうです。
わたしの言葉を繰り返してやっと状況を呑み込めた真綾ちゃんは信じられんと疑いの目を向ける。
「それが本当だとして、沙耶ちんは付き合いたいの?」
「興味はあるけど、会長のことよくわからないし、わたしなんかでいいのかと恐れ多く……」
「ま、あの会長様だもんね〜」
「え」
てっきり「あんな優良物件を断る選択肢ないでしょ」とか言われるのかと……。