終わった後のモノローグ
もう二度と開けることはないと思いつつも、なぜか持って来てしまったアルバム。こっちに来て一度も開いていない。

「村田彩葉(むらたいろは)……」

アルバムをめくると高校の制服を着た懐かしい顔が何人もいる。その中に、一つ結びをした真面目そうな女の子がいた。彩葉、私の友達「だった」人だ。

彼女との思い出は、あまりいいものではないのかもしれない。いい思い出はほんの一部だ。それでも、忘れたフリをすることができてもこの記憶は花のように枯れたりしない。

顔を上げれば私が一人で暮らしている部屋。過去のことを思い返すたびに、たらればを何度も吐き出して二人でいたあの時より思い詰めている。

「ずっと」



高校生になったばかりの頃、私はいつも他人の顔色を伺って生きていた。あの頃の私は人を信用するということができなかったから。

人は簡単に嘘をつく。世の中は嘘であふれ返っている。その嘘の一つ一つに私は幼い頃から苦しめられ、悲しんできた。だから、私は人を信じられない。信じられなかった。あの子に会うまではね。
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