終わった後のモノローグ
「あっ、よろしく……」

ぼんやりと窓の外を見ていた私に、隣の席になった彩葉が話しかけてきたことが全ての始まりだった。その時、彩葉の目を見て思ったんだ。この人は周りにいる人とどこか違うなって。

「あなた、人と話したりしないの?」

気になって私は思わず訊ねていた。まだ高校に入学して一週間も経っていない。みんな新しい友達を作ろうと必死になる時期だ。でも、彼女は椅子から動こうとしない。それが気になった。

「あたし、人付き合いが苦手で……」

私と同じだと思った。私と同じような目をして、他人の嘘を怖がる。その日から少しずつ彼女に私は話しかけるようになっていた。

この頃は、ほんの少しの話をして彼女自身を全てわかった気になっていた。彼女のことをどんどん知りたくなっていく。でも、今思えば知らないことばかり知りたくなるのは、本当は何も信じられないからなのかもしれない。

「ねえ、私たち友達になれない?」

彩葉と出会って一ヶ月ほど経った頃、私は思い切って聞いてみた。彩葉は目を見開き、驚いている。私は頰をかきながら口を開く。
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