終わった後のモノローグ
「あたし、就職先が決まったよ〜!!」

高校三年生の頃、彩葉は就職を選んだ。選んだのは介護の仕事。私は表面上は「おめでとう」と声をかけたけど、心の中では「悲しみを受け止められない人間が務まる仕事なの?」と毒を吐いていた。

そのまま私は嘘をつき続けたまま高校生活を終えた。上京しようと決めたのは、彩葉から遠く離れたかったから。

私も彩葉も、結局は嘘つきで最低だったんだ。



私は息を吐き、アルバムを閉じる。

思い出はこのままもう触れたくない。最初にあったあの楽しいと感じて過ごした日々すら疑ってしまうから。

「あの日々は、誰も悪くないのよね。一緒だと思っていた人は自分とは真逆だっただけで、私が全てを見る力がなかっただけ……」

彩葉のことを話すと、こっちで新しくできた友達はみんな「それってその子の心が未発達なんじゃん!」と言ってくれる。でも、運命はこんなにも疑惑と不安に満ちている。誰のせいにしても楽になれない。
< 6 / 8 >

この作品をシェア

pagetop