私の物語
次の日。

私にラブレターが届いたことは、すでに学年中に広まっていて、誰が渡したのかみんなが当てようとしていた。

最初は文字で分かるんじゃないかと思って、お手紙とにらめっこしていたけど男の子の字なんてどれも一緒。乱雑で、読みにくい。お手紙の字だって、お世辞にも綺麗とは言えない。私のモヤモヤは積もっていく一方だった。


そして、その日の5時間目。
苦手な算数の時間。
先生のお話なんてつまんないから、お手紙とにらめっこすることにした。

つんつん

腕を突っつかれて隣を見てみる。

「どうしたの、梶原くん」

普段はお隣同士でも、授業中にお話なんてしないのにどうしたんだろうと思いながら聞いてみる。

「手紙誰が書いたかそんなに気になると?」

そう言って、梶原くんは視線を私の手元に落とす。
私は、ゆっくりと頷いた。

「じゃあ教えてあげる」

そして梶原くんは、自分のノートに何かを書き始めた。
私はそれを目で追う。

“その手紙を書いたのは”

そこまで書いて、顔を上げる梶原くん。そして私の目を見て、ニコッと笑う。
もう一度、ノートに視線を戻して書き始める。

“僕だよ”

それを読んだ私は、顔が熱くなった。
そして…。

“僕と付き合ってください”

その言葉に私は、無邪気な笑顔で頷いた。


私と梶原くんが付き合ったことはすぐに学年中に広がり、それと同時に、

“みことちゃんは早川くんのことが好き”

という情報が流れていた事を知った。
そういえば、クラスの男の子に好きな人聞かれて、早川くんって答えたような気がする。なんて考えながら1日が終わった。
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