濃厚接触、したい
「袴田課長。
三番にお電話です」
「わかった」
短く返事をして、課長が電話を取る。
「お電話代わりました、袴田です。
……」
七三分けにした髪をきっちりオールバックにした彼は、いかにもお堅いサラリーマンの風貌をしていた。
そして中身もさらに。
「小早川。
この間の資料、助かった。
先方も大喜びだったぞ」
「ありがとうございます」
部下を褒めているというのに彼は真顔のままで、その表情はいつもと一ミリも変わらない。
きっと、前世に表情筋を忘れてきたんだと思う。
まあ別に、私に害はないからいいけど。
「山田」
「はい」
三番にお電話です」
「わかった」
短く返事をして、課長が電話を取る。
「お電話代わりました、袴田です。
……」
七三分けにした髪をきっちりオールバックにした彼は、いかにもお堅いサラリーマンの風貌をしていた。
そして中身もさらに。
「小早川。
この間の資料、助かった。
先方も大喜びだったぞ」
「ありがとうございます」
部下を褒めているというのに彼は真顔のままで、その表情はいつもと一ミリも変わらない。
きっと、前世に表情筋を忘れてきたんだと思う。
まあ別に、私に害はないからいいけど。
「山田」
「はい」
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