濃厚接触、したい
「小早川。
早速で悪いんだが……」

相手――袴田課長が画面に表示されると同時に自分のカメラも起動していることに気付き、慌ててカメラを切った。

「おい、小早川。
映ってないんだが」

眼鏡の影で眉間に僅かに皺を寄せ、小早川課長が私を軽く睨む。

「あー、カメラの調子、悪いみたいなんですよねー」

適当なことをいって誤魔化した。

「そうか。
画面の共有さえできればいいから問題ない。
それでだな……」

それ以上、課長はツッコんでこなくてほっと息をつく。
そのまま、何事もないかのように私も話に集中……できるわけあるかー!
普段はかけていない、黒縁ハーフリムの眼鏡をかけてさ?
髪だっていつもより緩くセットしてあるし。
ワイシャツだけどノータイで、ひとつ外したボタンからセクシーダダ漏れされてよ?
いやほんと、カメラ切って正解だったわー。

「って、聞いてるか?」
< 4 / 14 >

この作品をシェア

pagetop