濃厚接触、したい
「えっ、はい!
聞いてます!」

相変わらず無表情だが、この破壊力はすさまじい。
これでちょーっとでも笑われたら私……抱いてくださいとか口走りそう。

「えっとそれで、なんでした……」

「ワン!」

「……ハイ?」

聞き逃したことを聞き返そうとしたら、画面の向こうから犬の鳴き声がした。

「あっ、こら!
向こうに行ってなさいって言っただろ!」

「ワン、ワン!」

初めて見る慌て姿の課長の向こうで、盛んに鳴く小型犬の声が聞こえる。

「すまない、ちょっと待っててくれ」

「あ、ハイ……」
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