濃厚接触、したい
これで誤魔化されてほしい、というのはかなり無理がある……?

「そうか。
大丈夫か?」

しかしながら課長は全く疑っていないようで、心配までしてくれた。

「空だったので大丈夫です。
それで……」

極めて冷静さを保ち、話を再開する。
がしかし、顔はにやけっぱなしだし、鼻息が荒くなりそうで気を遣う。
とにかく仕事に集中しようとしたものの。

「くーん」

――ガリガリガリガリ。

今度は画面の外から、中に入れろと催促しているわんこのアピールが聞こえてくる。
しかも、かなりの悲壮感だ。

「だから、その……。
すまない、ちょっと待っていてもらえないだろうか」

「え、ええ。
はい」
< 7 / 14 >

この作品をシェア

pagetop