ロストラブレター
お風呂に入った後だというのに、汗が止まらない。

どうしてこれを遥が?先輩の下駄箱にいれたはずだよね?というよりも、これは本当に私のラブレターなの?

「司?」

反応のない私に、遥が首を傾げて不思議そうにもう一度声をかけた。

「あー…えっと、これ…」

上手く反応が出来ず、聞きたいことや言いたい言葉が口から出てこない。
そんな私を見かねたのか、遥が低い声で話し出した。
「ごめん、中身も、見た…。先輩に渡そうと思ったけど…なんか、タイミング掴めなくて…」

どこか申し訳なさそうに目を伏せる遥を見て、慌てて首を振った。「いやいやいや!」恐る恐るテーブルに置かれた手紙を手に取り、なかを確認する。
あえて封筒には名前を書かなかったのだ。

何故か目を細め、二つ折りされた手紙を開き確認する。それは確かに、私が昨晩書いて今日先輩の下駄箱入れたラブレターだった。
私はすぐ様手紙を閉じ、封筒へしまった。

なんて恥ずかしい文章を他人に、しかも幼馴染みに見られてしまったんだろう。いや、むしろ幼馴染みで良かったというべき?
他クラスの子や知らない先輩に見つかっていたら、もう学校へは行けなかったかもしれない。
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