ロストラブレター
2枚目
「う、さっむい」
隣で紙パックのコーヒー牛乳を飲んでいた麗がストローから口を離し大袈裟に身震いをした。
突如襲った突風にスカートが乱れ、慌てて前をおさえる。
段々と冬の気配が近づき、風も冷たくなってきた。今日みたいに、普段は麗、咲子と中庭のベンチでお弁当を食べるが時期的にそろそろ厳しそうだ。
私は卵焼きを口に放り込み、麗と咲子に提案する。
「もうそろそろ中庭は無理そうだねー」
「えー、せっかくここからならテニス部がみられるのにぃー」
口を尖らせて文句を言ったのは麗だ。
私と咲子は一瞬顔を見合わせ、したり顔をする。
「麗さん、テニス部の誰を見たいんですかぁ〜?」
咲子がにやにやした声で麗の肘を突くき、私も視線で麗をひやかす。
その意味を理解したようで、瞬く間のうちに麗の頬が赤く染まり、それは頭から湯気が出るんじゃないかと思うほどだった。
「んもー!!2人ともわかってるくせにっ」
口を膨らませて怒った顔をすると、麗は肘を突いていた咲子の肩をポカポカと軽く叩き始めた。
そんな2人のやりとりを見て、私は大きく笑う。