ロストラブレター
麗はテニス部で同じクラスの高橋君にご執心なのだ。
なんでも、席が隣になった時に共通の趣味で話が盛り上がったらしく、そこから意識するようになったと、前に麗が顔を真っ赤にしながら教えてくれた。
「もう、笑ってる司はどうなの?好きな人とかいないわけ?」
「えっ!私は…まぁ、まだ…」
突然振られた質問にうまく答えられずどもってしまった。
そこを見逃さないのがこの2人だ。
きらりと目が光ったかと思うと、2人して身を乗り出し「いるんだ?!」と詰め寄ってきた。
「あー、えっとまぁ、そんなとこかなぁ?」
素直に、『先輩が好き』と友達にもいうのが恥ずかしく、視線を斜め上にし曖昧に答える。
だって、ラブレターまだ渡せてないし、振られるかもしれないし…。
もし、もしも、僅かでも可能性があって付き合えたら2人に話そうと思っていた。
この半年間、言おうか言うまいか考えている間に時は過ぎ、いつの間にか私は告白までしようとしている。
その段階で2人に言うのは、振られた時に気を使わせてしまいそうではばかれる。
私はヘラっと笑顔を作り、2人をまぁ、まぁ、となだめた。
「好きって言っても、なんか憧れ〜みたいな感じだし!恋っていったらなんか違う気がするかも!」