インスピレーションを信じて
6
「レーナ。俺 明日 休みなんだ。」
歩きながら 務は 私を 覗き込む。
「ふふ。だからぁ? 」
務の言葉に 苦笑する私。
「レーナと一緒に 泊まりたいなって思って。」
「海の続き? 」
「いや、今のレーナを抱きたい。」
私の胸が ピクッと跳ねる。
務の中で あの夏は 完結しているの?
それなのに 私を誘うって。
もう一度 始めるっていうこと?
無言で 務を見つめる私に
「だめ? 」
と務は 甘えた声を出す。
「知らないよ? 私に夢中になっても?」
精一杯 強がって。
余裕の顔で 答える私。
「夢中にして。」
と言う務の方が 一枚上手だと 私は 思った。