インスピレーションを信じて

木曜の夜 務との 待ち合わせは7時。


『早めに 仕事上がるから』

『大丈夫?無理しなくても 私 待っているよ?』

『俺 レーナに会いたくて どうしようもないから』

『務…』


務の言葉が 嬉しくて。

私の胸は キューッと熱くなる。


『レーナは?』

なんて 甘い声で聞くから

『私も…』

素直に言ってしまう。


でも務は

『んっ?』

と、もっと おねだりをする。


『務に会いたい…』


言った途端に 鼻の奥が 熱くなって 涙が 溢れた。

私 こんなこと 誰にも 言ったことないんだよ。


『レーナ。可愛いな』

電話では あまり甘い言葉を 言わないのに。


『やだ。恥ずかしい』

涙を流して 答える私は 少し鼻声で。

『レーナ、どうしたの? 泣いてる? 』

敏感な務は すぐに気づく。


『ううん…』

うまく言葉が 出なくて。


『俺 今すぐ 会いたいよ』

『……』

『寂しいの? ごめんな。でも 俺も 寂しいんだよ?』

『務…』

私は 大きく鼻を啜った。



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