インスピレーションを信じて
8
焼けたお肉を 務のお皿に 取りながら
「ねえ務。正直に答えて。」
私は さりげなく 聞いてみる。
「なに?」
「務 今 彼女いるんじゃない?」
私の言葉に 務は 黙って 私を 見つめた。
「レーナ。俺 今日 ちゃんと 話そうと思って来たんだ。」
私は 微かに頷いて 身構える。
大丈夫。何を聞いても 驚かない。
これで最後になっても 後悔しない。
曖昧なまま 自分を誤魔化すなんて
私らしくないから。
「レーナ。俺と 結婚を前提に 付き合って下さい。」
務は お箸を置くと いきなり言った。
「えっ?」
私は お箸を 落としそうになるくらい 驚く。