インスピレーションを信じて
「俺 あの夏からずっと レーナのこと 気になっていて。あれ以来 誰とも 真剣に 付き合えなくて。」
私は お肉を焼く 手を止めて 務の言葉を待った。
「俊樹が 悠香と会ったって聞いて。もっと早く 俺に言えよって。マジで 頭にきたよ。俺だって レーナに会いたいのに。早く 会わせてくれって。」
「務…」
「俺 好きな人がいるって。あの後で ちゃんと 見合い断ったから。親にも レーナのこと 話したいし。でもレーナと そういう話し 全然してなかったから。レーナの気持ちを 知りたいんだ。」
「……」
「俺は レーナ以外とは 結婚なんて 考えられない。すぐじゃなくていいから。考えてくれないかな。」
私は うまく返事ができない。
務の気持ちは 嬉しいけど。
急に お見合いとか 結婚とか。
予想以上の 言葉に戸惑って。