インスピレーションを信じて
『あんなに 会いたいって思っていた時は 全然 会わなくて。今頃 再会って… 神様 意地悪だよ。』
悠香の 少女じみた言葉に 私は クスッと笑う。
『今度こそ 頑張ってみなよ。悠香 好きだったんでしょう?俊樹のこと。』
『えー!無理だよ。私 まだ仕事もできないのに。』
『それとこれは 別じゃない。』
『無理 無理 無理 無理。』
悠香の 激しい否定に 私は ケラケラ笑い。
『俊樹の方から 何か 言ってくるかもしれないし。まあ 出会えたことは よかったよ。』
『それは ないよ。俊樹は あの夜のこと どう思っているか わからないじゃない? 』
『俊樹も 懐かしいって 思っているでしょう?』
『ただ ナンパしただけの 女の子だよ。』
『そうかな。でもあの夜は 楽しかったじゃない? 』
『私のこと 軽い女だって 軽蔑してるかも。』
『それなら 自分だって 軽い男じゃない。』
『そうだよね。会社で 私のこと バラしたりしないよね。自分の恥を 晒すことにも なるもんね。』
私は 悠香の言葉が チクッと胸に刺さった。
『あれって やっぱり 恥じなのかな。』
少し しんみりして 答えると
『うーん。』
と悠香も 寂しそうな声を出した。