インスピレーションを信じて
日曜の夜 悠香から電話が入った。
『 ちょっと 礼奈。水くさいじゃない。何も話してくれないなんて。』
悠香は 膨れた声で言う。
『 ゴメン、ゴメン。でも 急だったのよ。本当に。』
少し笑って答える私。
『 昨日の務君 ニヤニヤしちゃって。すごく幸せそうに 礼奈のこと ノロケてたよ。』
『 えっ。務 何言ったの? 』
『 礼奈 すごく可愛いって。あと ご飯も美味しいって。』
『 もう。恥ずかしいから。いない所で 私の話し しないでよ。』
『 いいじゃない。いいことなんだから。』
ほのぼのと言う悠香。
『 ねえ悠香。私 仕事 辞めようと思うの。』
私が 思い切って言うと 悠香は 少し笑った。
『 やっぱりね。そうなると思った。』
と言って。
私は ちょっと口ごもる。
『 どうしてよ。』
焦りを誤魔化すように 強い口調で聞く。
『 礼奈って 案外 一途だもん。務君に 付いて行くって決めたなら 尽くすでしょう。』
私は 悠香に 言い返せない。