インスピレーションを信じて
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退職願を出したことで 私の心は 軽くなった。
23日 私は 早退をして 電車に乗った。
務の仕事が 終わる時間に 待ち合わせて。
「レーナ。遠くまで 悪いな。」
務は 車で迎えに来た。
「何か 務の車に乗るの 懐かしい。」
助手席に座って 務を見ると
あの夏を 思い出してしまう。
「あの時 俊樹達 後ろで イチャイチャしてたんだよ。」
と務も 笑って言う。
「務に運転させて。ひどいよねー。」
首を傾げる私を 務はそっと抱き寄せる。
私も 素直に 務の肩に 寄り掛かる。
「もう無理。ちょっと休憩。」
務は 路肩に車を停めると
私の唇を塞いだ。