インスピレーションを信じて

「きちんとした お嬢さんで 安心したよ。実は 務が 頼りなくて 心配していたんだ。サラリーマンの気持ちのまま 全然 自覚がなくて。だから 結婚でもすれば 責任感が 芽生えるかと思って 見合いをさせたけど。こんな良い彼女がいるなら 安心だ。礼奈さん 宜しく頼むね。」

出身地や 家族構成など 簡単に 聞いた後で

お義父さんは 私に言った。


「いいえ。まだ未熟で。ご迷惑をかけることも たくさんあると思います。私こそ 宜しく お願いします。」

緊張したまま 頭を下げる私。


「部屋は 見つかったの?」

お義父さんは 務に聞く。

「うん。高樹町のマンションに決めたよ。レーナは 年内で 仕事を辞めるから。年が明けたら こっちに来るから。」


務の言葉に お義父さんは 頷き

「田舎で 不便だと思うけど。徐々に 慣れるから。我慢してね。」

と私に 優しく言ってくれる。


「いいえ。ご挨拶が後になってしまい。私こそ すみませんでした。」

私は 恐縮して首を振る。


お義父さんは 気持ち良い声で 『ハハハッ』と笑い

「礼奈さんが しっかりしていて 安心だ。」

と言った。


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