インスピレーションを信じて
13
丁寧に 手入れされた庭を歩いて
大きな家の 玄関にたどり着く。
「ただいま。」
と務が 玄関を開ける。
和風建築の 立派な家なのに
玄関は ほどよく散らかっていて。
私の緊張は 一瞬 緩む。
「はいはい。いらっしゃい。」
奥から 出て来たお義母さんは
務によく似た 丸い目で。
顔も体も ぽっちゃりと丸くて。
「はじめまして。宮内 礼奈と申します。」
ゆっくり頭を下げる私に
「母の 都子です。」
と言って ニコっと笑う。
「はぁ? 普通 名前とか 言うか? 」
務のツッコミに 私も 笑ってしまう。
息詰まる緊張は 一瞬で ほぐれた。