インスピレーションを信じて

私の身体の上から 唇を落とす務。

狭いシートの上で 私を ギュッと抱き締めて。

「あーあ。レーナ 帰したくないなぁ。」

務の言葉が 胸に沁みて

「私も。帰りたくないなぁ。」

珍しく 素直に言ってしまう。


今までの私なら

” あと少しの我慢だよ ” とか

” 仕事だから仕方ないよ ” とか

きっと そんな風に 答えていたと思う。


「務…重いよ。」

私の上に 乗ったままの務。

「レーナ。横向いて。」

私達は 狭いシートに 並んで横たわる。

私を抱き締める務に 私も 強く抱き付く。


「レーナ、いつも こんな気持ちで 俺を見送っていたんだ。」

務が言った一言で 私の涙腺は 崩壊してしまう。


務だって。こんな気持ちで 私を残して 帰っていたの?

残る私を思うと 身を引き裂かれるような。

私 簡単に ” 帰らないで ” なんて 言っていたけど。



務の胸に 顔を付けて。

しゃくり上げる私。




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