インスピレーションを信じて
務のご両親に 会った後で
私は 母に電話をした。
事後承諾になったけど。
仕事を辞めること
引越しをすること
そして 務と一緒に暮らすこと。
私の実家は 群馬県で。
サラリーマンの父と パートで働く母。
『 礼奈はいつも 自分で決めちゃうのよね。』
と母は 寂しそうに 言った。
『 ごめんね。でも ちゃんとした人だから。お母さん 安心して。』
と私は答えて 少し しんみりした。
『 お正月に 彼を 連れて行くから。お父さんにも 話しておいて。』
『 お父さん 寂しがるわよ。』
『 大丈夫よ。杏奈がいるから。』
大学生の妹は ずっと実家に住んでいる。
末っ子らしく 甘え上手で。
妹がいるから 私は 自立できた。
あまり 実家には 帰らないけれど。
別に 家族を嫌っていたわけではなくて。
多分 小さな頃 十分に 愛情を かけてもらったから。
だから 健全に 親離れができたのだと 私は思っている。