俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
目の前には、オシャレなカフェ。
お祓いに来たのに…カフェ。
そりゃビックリするか。
「ここで取り敢えず、いろいろ話を聞かれると思うから」
「あ、うん。ごめん。…てっきり神社やお寺に行くと思ってたから」
だろうな…。
だって、俺も最初はビックリしたし。
そんな戸惑う薫を連れて、そのドアを開けた。
「いらっしゃいませ!…お待ちしてました。橘さん」
出迎えてくれたのは、先日の件の時も出迎えてくれた、アルバイト店員の咲哉さんだった。
白いシャツに黒いエプロンが様になっている。
「よ、よろしくお願いします」
「なずちゃん、奥の席で待ってますよ?」
そう言われて、ふとその方向に目をやる。
(あ…)
その奥の席には。
いつものダークブラウンの巻いたロングヘアの後ろ姿が。
なずなだ…。
そして、こっちに気付いたのか、振り返って顔を見せる。
相変わらずの付けまつ毛をバサバサとさせた、目力の強いアイメイクをあしらった目で、こっちを見ていた。
「おう、伶士」
席を立って、手を挙げる。
「…こちらへどうぞ?」