俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
「えっ…?!」



…いや、更によく見ると。

なずなは薫を見ているというか。

薫の向こうを見ている。

そこには何もなく、壁しかない。

しかし、そこに何かあるかのように、そこに視点を合わせた上に、耳を澄ましている様子だった。



(まさか…)



背筋がゾワッとする。



まさか…そこに。

何かいらっしゃるのでしょうか…?



霊能力者あるある。

俺達に見えない何かが見える…?



しかし、なずなは見えるどころか…。



「…うん。へぇ……」



…え?

相づち…コミュニケーション取ってる系!

頷いてるし!



いったい何が…!



薫の表情も段々不安そうな、不信なモノへと変わりつつある。

三度、声を掛けていた。



「あの…」

「…ちょっと。手を貸してくれる?」

「は?!手?」

「うん。その右手。こっちに出して」



急なオファーに戸惑う薫だが、首を傾げて俺の顔をチラッと見る。

ここは、言うとおりにした方が良い。

そう思って頷き返すと、薫は恐る恐る右手を差し出していた。

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