俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
その右手を手に取り、キュッと握るなずな。



「…精神世界覗くとか、あまりしたくないんだけどさ…」



そう一言呟いて、目を静かに閉じた。



精神世界?…って。



なずなと薫の繋がった手。

それは、先ほどのショート音とは違って、今度はうっすらと白く光を伴っていた。

なずなは、その光を手に絡めたまま、何かを念じるように目を瞑っている。



とても幻想的な光景だ…。



…けど。

胸中複雑で。

ハラハラした気持ちを表に出さないよう必死でいる。



(………)



これ…さっき同様、何かを見てるんだよな?

薫の何を見ているのか知らないけど。

…ひょっとして。まさか。

今度は、俺達の過去の場面がなずなの頭の中を駆け巡っているワケじゃないよな…?



だとしたら。

俺達の過去の詳細も、なずなにばれ…!



(や、やばい…)



…いや、俺達。なずなと俺は。

別に付き合ってるワケじゃないんですよ?

だから、俺が薫と密かに会っていようが、相談に乗って力を貸そうが、こうしてなずなの前に連れてこようが、なんも悪いことではない。

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