俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~
でも、現在好きな人に、元カノとの過去を知られるのは、俺的にはあまり気分が良くないワケで…。



薫が困ってるから、助けてやりたいとは思ったけど。

でも、こんな展開になるなんて。

あぁ…何で薫をヤツの前に連れてきてしまったんだろう。

と、後悔までしてしまう。



…だけど、それを本気で後悔するのは、間もなく。



複雑な気持ちで、その幻想的な光景を見守っていたが。

手に絡められた光は、徐々に小さくなっていく。

やがて、完全に消えた。

辺りはシーンとなり、静寂が訪れるが。





「…『二兎を追うものは、一兎も得ず』…」



目を閉じたままのなずなは、小さな声でボソッと呟く。



「は…」



…その時。

薫の顔色が、一瞬にしてガラッと変わる。

目を見開いて、顔が強張った。



「…『でも、めげずにマドンナは別の兎を追う』…ってか?」

「は…はっ?!」



そう言って、なずなは目を開ける。

その強い眼力は、明らかに動揺している薫を捉えていた。




何だ?…どうした?



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