俺のボディガードは陰陽師。~第二幕・幸福論~

「…そ、それは違うよ」

「え?…だって、そうでなければ、伶士が学園を辞める理由なんて…」

「違う。俺、幼なじみとサッカーやりたくて、彼を追いかけて今の高校に入ったんだ。だから…薫のせいじゃない」

「そうだったんだ…」

薫は頷きながらも俯いていた。



学園そのものが嫌になった、というのは少なからずあるけど。

でも、それを今ここで薫に伝えるべきじゃないと思って。

そこは言わないでおいた。



「伶士…」



そう言って薫は一歩寄ってきて、俺のコートの袖をキュッと掴む。

まるで、すがるように。



「…私のしたことは、伶士を傷付けたってわかってる。そんな私が、また伶士とやり直したいなんて、都合が良すぎるのもわかってるよ?償わなきゃいけないと思ってる…」

「償うって…」

「私は学校離れてても平気だよ?でも伶士が嫌なら、私も公立に編入したって構わない」

「そ、それは…!」

「もう他の人なんて見ないし、伶士の試合も応援に行く…だから」



袖を掴む力は、キュッと更に強くなっていて…震えていた。



「だから…また、一緒にいられないかなぁ…?昔みたいに…」



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